歴史哲学講義(上)
ヘーゲル、2003年、長谷川宏訳、岩波文庫
ベルリン大学での講義をまとめたもの。ワイド版岩波文庫読みやすい。
ヘーゲルによれば、記述されたものが歴史であり、
国家を形成した民族だけに歴史がある。
p73
世界史においては国家を形成した民族しか問題とならない。
p109
歴史記述が現れる以前に民族が経験した、数百年ないし数千年におよぶ革命と遍歴と大変動の日々は、主観的な歴史物語が存在しないがゆえに、客観的な歴史としても存在しない時代です。
つまり、人間の営みや文明的なものがあったにせよ、記録がなければその歴史はないに等しい。以下はインドについて。
p254
どの村でも収穫は大きく二つに分けられ、一方は王侯(ラージャ)に、他方は農民に配分されますが、それ以外にもそれ相応のわけまえにあずかる人として、土地管理人、裁判官、水番、祭を司るバラモン、星占い師(これもバラモンで、日の吉凶を指示します)、鍛冶屋、大工、陶工、洗濯夫、床屋、医者、踊り子、音楽師、詩人などがいます。
p271
ヨーロッパ人がインドのことを知るようになったころ、インドにはイスラム教徒の王侯やインドの王侯を首長とする小国がたくさんありました。