続・インタフェースデザインの心理学
Susan Weinschenk、武舎 広幸 ほか訳、2016年、オーム社
1章 人はどう見るか
5、曲線、丸みのある形を好む。視覚野の活動が活発になる。
7、人の顔・身体は左右対称を好む。DNAの損傷が少ないから。対称な物の方が早く目に入り認識も早い。特に男性は顔・身体以外でも左右対称を好む。
18、危険を感じさせる画像は周辺視野から直接皮質下を通り扁桃核に到達する(速い)
24、大きな画面とスマホでは中心視野に入るエリアが異なる。中心視野に入る部分は精密で、周辺視野に入る部分は単純で細かくないほうがよい(周辺視野でも捉えられる)。
27、ボタンやリンク(CTA call to action)をクリックなどの行動を起こさせるためには「見てもらうこと」が効果的か?(★この研究はまだない)
34、デザインの良し悪しは0.5秒で判断される。色使いと複雑さ。
43、記憶は変わる。自伝的記憶。うち強い感情を内包した記憶=フラッシュバルブ記憶
47、変化しない記憶。意味記憶=事実や概念に関する記憶。手続き的記憶(筋肉記憶)。感覚記憶。
2章 人はどう記憶するか
39、システム1=自動的、直観的で努力不要の思考と、システム2=努力を要する慎重な思考(計算など)通常モードはシステム1。
3章 人はどう決めるか
55-58、繰り返すと信じる、写真を付けると信用される
60、「視覚的顕著性」のあるものを選ぶ(明るくする、枠、縁取りなどを追加する)
62-68、複雑な判断をするときもフィーリングを重視している。情報は必要最小限にする。熟考を終わらせ判断させる。
70、いつもとは違う決断をしようとしているとき瞳孔が拡大する。
71、決断するのは「正しい」と自信を持った時。
72、情報を小さなまとまり(チャンク)にする。小さな動作を何度もさせる(ここをクリックして○○を確認 など)
76、ストレス=感情的、心理的困難を伴う体験で、困難に対応するために交感神経系の活動を引き起こしストレスホルモン(例コルチゾール)の放出を促し、身体資源をアクティブな状態にする。
ストレス下での決定は過去の似た経験で結果の良かったことを思い出し決断する。女性は低リスクを選び男性は高リターンを選ぶ。
80、仕切り直し効果=個人的な向上や変化のための行動を始める。日常に区切りをつけ新しい生活を始める。新年の最初の日や週、連休後の最初の平日、9の付く年齢。ダイエット、ジムへ入会、出会い系サイト、マラソン、自殺 など。
82、プロトタイプモデル=あるカテゴリの一般的な概念を記憶から作り出す。事例モデル=1個か2個の特定の記憶をもとに決定する。多くの被験者が事例モデルに基づいて決定する。
90、非流暢性と学習効果、記憶される、記憶が薄れにくい。しかし読みやすい方が信憑性が高く感じる。
97、動詞より名詞が好まれる「私はチョコレート大好き人間です」「私はチョコレートをよく食べます」
99、ボタンには動詞より名詞を使う「寄付をする」より「寄付者になる」。「有権者」「会員」「提供者」など集団への帰属意識を呼び起こすから。
100、同音異義語が行動のきっかけになる 例:byeとbuy、rightとwrite 声を出さずに音読(サブボーカライズ)しているから。認知負荷が大きいとき効果が強い。
行動科学
108-111、読む能力は習い覚えるもので最初から組み込まれるものではない。斜め読み/拾い読みは「読書」(深い読み)とは違う。現代人は両者は切り替えができる(将来はわからない。)斜め読みは小さな固まり、見出しを付ける。オンラインのテキストは「読まれない」理解されない、記憶されない。テキストは少なく。
119、映像(ビデオ)>語り+写真>語り+文字>文字だけ
5章 人は物語にどう影響されるか
124、物語は記事体験で脳の多くの領域を使う。情報の理解度も記憶の保持時間も増大する。情報、事実、データなどを物語で示す。ハラハラドキドキ悲しいなどのストレス=コルチゾール、人との絆=オキシトシン、やる気・ポジティブ=ドーパミン
127、神経経済学(ポール・ザック『経済は「戦争」では繁栄しない』2013)
128、ピラミッド構造(起承転結)の物語 提示部→上昇展開→クライマックス→下降展開→結末 お客様の声・レビューなども ビデオもピラミッド構造にする
138、物語が短いときは緊迫感を急激に盛り上げる、主役を明確にする。
134、セルフストーリーに合致すると影響を受ける。セルフストーリーからブレるのを嫌う。セルフストーリーが「人助け」→ボタン名「支援に参加」。ターゲットが重視しているセルフストーリーを見極める。
136、セルフストーリーへのわずかな逸脱=「ひび入れ」。ひびは広がる。セルフストーリーに反するときは、その決断を正当化する新たなストーリーを探す。
140、SNS、レビュー、お客様の声など公にするとセルフストーリーが強化される。セルフストーリー=内的動機付け
6章 人は他人や技術とどう関わり合うか
150、広告は嫌われ飛ばされる。開始早々喜び(長く気を引く)や驚き(注目)の表情を。
ブランドパルシング(brand pulsing):ブランドロゴがあるとビデオの物語が妨げられる。最初や最後のブランドロゴはスキップされる。ストーリーになじむようにロゴを複数回登録させる。
153、驚きは(肯定的でも否定的でも)共有される、ショッキングは共有されない。外交的で自己中心的な人が情報を広める。
神経経済学
161-163、携帯電話がそばにあるだけで認知機能は低下する
163-165、携帯電話がそば(目の届くところ)にあると人間関係にマイナス
166-172、ユーザーに感情移入してもらうためには機械に少し人間らしいところを加味するが、人間に酷似しないほうが無難(ぶきみの谷)
7章 創造性はデザインにどう影響するか
177、情報注意ネットワーク(EAN:executive attention network)、集中・問題・アイデア、前頭前皮質外側部・頭頂葉後部
179、デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)、安静・精神統一・離れる時間、前頭前皮質内側部・側頭葉内側部
8章 人体はデザインにどう影響するか
202-204、無意識にやっている自然なジェスチャーで使えるものを好む
207、(SP)親指で届く範囲は画面中央か下部。画面左上は(現時点では標準だが)頻繁に使うコントロールの置き場としてはよくない。
210-213、解像度より画面との距離が重要、、スマホ(~30.5cm)タブレット(~46cm)ノートPC(~61cm)テレビ(~3m)
アイコンの高さ:スマホ2.5cm、タブレット4.5cm、ノートPC5.7cm、テレビ13.3cm
9章 人はものをどう選び買うか
216、人はオンラインと店舗を切り離して考えていない=オムニチャネル。ウェブサイト/店舗での体験に差が無いようにする。
218、透明性が低い=支払いに実体感が少ない=使用金額が増える。実体感(透明性):現金>店舗でクレカ>ネットでクレカ>1クリック購入>サブスク>年1回一括払い
221、認知不協和を際立たせた後、問題・葛藤を解消するための商品を提案する。
223-224、最初に提示された数字が「アンカーポイント」となり、後から現れる数字の反応に影響する。高価なアイテムをリストの一番上に置く。
225-228、ドーパミンの分泌はシグナル発信時に始まる。報酬を受け取る時点ではない。予測不可能性で期待が増大する。
『デジタル・ドーパミン』Razorfish 2015
「翌日届く」ことより「配達日時を細かく選べる」方を望む。届くのを待つのが楽しいから。
10章 世代、地域、性別はデザインにどう影響するか
232、スマートフォンが用いられている割合が多い:健康問題、オンラインバンキング、授業を受ける、求人に応募
239、ゲーマーには世代差、性差がない。65歳以上は1日のプレイ時間が他の年齢層より長い。
245、メンタルモデル(=言葉遣い)の世代差。インターネットが普及する真に成人した人は「ネットで」「インターネットで」という言葉を使う。ネットを訪れる場所とみなす。若年層はネットでするのが当たり前だから「ネットで」と言わない。
246、加齢とともに青は識別しにくくなる。
11章 人はインターフェースやデバイスとどうやり取りするか
260-261、5分を超えるビデオはビデオダイジェストを用意する。→動画の「流し見」
264、スクロールせずにみられる範囲(above the fold)見られる範囲より下(below the fold)、、人は垂直方向のスクロールをするが一番重要な情報はスクロールせずに表示される領域に書く
278、アクションゲームは視覚・聴覚・運動神経の能力を高める。
271、ゲームは大人になってもニューロン構造を再構築できる。戦略ゲームは認知的柔軟性を高める。認知的柔軟性は訓練で強化できる。
273-274、予測デザイン=ユーザーからのインプット無しでユーザーのための選択肢を準備する
ウェアラブル
脳インターフェース
モーダルインターフェース
複合現実
アクセシビリティ