アラビアン・ナイト(3)
- ヌールッ・ディーン・アリーとアニースッ・ジャリースの物語
女奴隷を購入するよう王に言われた大臣が、購入した女奴隷を家に滞在させているとき大臣の息子とその奴隷が恋に落ちる。二人は1文無しになり悪い大臣に嵌められバグダードに逃げる。バグダードの美しい宮殿や庭園が描かれている。 - 狂恋の奴隷ガーニム・イブン・アイユーブの物語(または商人アイユーブとその息子ガーニムおよびその娘フィトナの物語)◎交易の様子
商人とカリフの愛人との禁断の恋物語 - 黒奴ブハイトの因果話
- 黒奴カーフールの因果話
- オマル・ブヌ・アン・ヌースマン王とそのふたりの御子シャルカーンとダーウル・マカーン、そしてこの人たちに起こった驚異・珍奇な物語
- シャルカーンと大臣ダンダーンがオマル・ブヌ・アン・ヌースマン王の命を受け、コンスタンティノープルの皇帝アフリードゥーンを助けるためアルメニア王との戦に出発する話
- シャルカーンとハルドゥーブ王の娘アブリーザ姫との話
- アブリーザ姫とオマル・ブヌ・アン・スウマーン王の話
- アブリーザ姫とガドバーンという黒人奴隷、およびその者が姫を殺害する話
- ハルドゥーブ王が母のダートッ・ダワーヒー老夫人と商議する話
- シャルカーンが父王のもとを去り、ダマスクスに滞在する話
- ダウール・マカーンが妹ヌズハトッ・ザマーンとともに父に内緒で聖地巡礼に出る話
- ダウール・マカーンとヌズハトッ・ザマーンが聖地巡礼より戻り、エルサレムにて互いに別れる話
- ダウール・マカーンと浴場の火夫との話
- ヌズハトッ・ザマーンとハンマードという牧人の話
オマル・ブヌ・アン・ヌースマン王とそのふたりの御子シャルカーンとダーウル・マカーン、そしてこの人たちに起こった驚異・珍奇な物語
pp188
「主人(アブリーザ姫)が、あなたさまをお迎えして来いと申しております」
といいました。シャルカーンは立ち上がって、侍女のあとについて行きましたところ、姫の部屋に近づきますと、侍女たちがタンバリンや笛などをもち、列をつくって出迎え、大きな入り口の扉まで案内しましたが、その扉は象牙づくりで大粒の真珠や、宝石類がちりばめてありました。
p153
(オマル・ブヌ・アン・ヌウマーン王の側室ソフィアの出産)
(王が)そしてみどり児とご対面になりますと、その上に身をかがめて、接吻をなさいました。たちまち宮女たちが、タンバリンをうち鳴らし、もろもろの楽器をかなではじめました。
【オマル・ブヌ・アン・ヌースマン王...の物語の時代について】
p149
シェヘラザード自身が「カリフ、アブドル・マリク・イブン・マルワーンの御世になる前のこと」と語っている。
pp286-288
オマル...はアラビアン・ナイト全編の1/8を占める最長編で、ドイツのルーディ・パレットによる「オマル・アン・ヌースマーンの騎士物語」という専門の研究がある。これによるとそこに使われている言葉から「11~13世紀の十字軍の時代という推察もできる」が、「やはりウマイヤ朝からアッバース朝時代、7~9世紀のアラブ人とギリシア人との大衝突にちがいない」と前島は書いている。
【あとがきより】
本巻の最初の2物語は、バグダードの恋物語に分類される。比較的古い時代に成立。
p279
リットマンの分析によるとアラビアン・ナイトの恋物語は以下の3種類に分類される
(1)イスラーム前、古代アラビアの遊牧社会、純潔な愛
(2)バグダードやバスラ、都会の教養ある人々、宮廷の奴隷
(3)カイロを舞台とした享楽的、淫蕩的なただれた恋愛