女たちのシルクロード-美の東西交流史-


弓場 紀知編、平凡社、2010年

1.シルクロードと古代日本 百橋明

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瞿薩旦那国王に嫁いだ女性が帽子に桑の種子と蚕を入れて行った。

ソースは玄奘三蔵『大唐西域記』巻12「瞿薩旦那国」の「麻射僧伽藍(まざそうがらん)」
伽藍は蚕のために建立された。
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上前が左か右か。中華風右前。つまり左前から右前への襟の転換は中華風への移行を示す指標。吉林省集安県の4世紀末~5世紀はじめの壁画は左前。
40-41
樹下美人図は唐風のファッション。日本からトルファンに広く分布。
2.古代オリエントのヴィーナス(女神)たち 杉村棟
44-47
メソポタミア前8000頃=灌漑農業と家畜の飼育(人口の増大)→植物、動物を育てる:豊穣、多産 「地母神信仰」まだ名前はない
地母神像 前6000-5000年 瀝青(アスファルト)、アラバスター、テラコッタ
50-53
セム系の女神たち
オリエント(メソポタミア、シュメール):イナンナ(ニン・アンナ=天の女主人)イシュタルともいう。シュメール人が信仰したのがイナンナ、アッカドに受け継がれてイシュタルとなる。ウルク、キッシュ、アガデ、アルバの神殿で祀られる。
カナン:アスタルテ、アナト
アラム:アタルガティス
ヒッタイト・フルリ:へバット
アナトリア:キュベレー
古代アラビア:アラート
ユダヤ:リリト
古代アーリア系の女神たち(水が乏しい地域)
ペルシア:アナーヒター(水の女神)
ギリシア
マイナーデス(狂乱の信女:酒神ディオニュソスの巫女)激しく妖艶に官能的な踊り
3.敦煌莫高窟仏教壁画からみた女性供養者像 王衛明
供養者とは、洞窟の所有者(窟主)、仏像の発願者(像主)、既存の洞窟を改修・所有(施主)などで、女性では尼僧、地方官や節度使の女性親族などがいる。供養者の像が描かれた。
シルクロードの女性とガラス 谷一 尚(岡山市立オリエント美術館館長)
203-205
唐、史道洛墓の発掘 史道洛と妻康史の合葬墓
これらの墓から東ローマ帝国金貨(ユスティニアヌスⅡ世金貨)がみつかる。
ソグド人(胡人)はコーカソイド(頭蓋骨の計測で判明)
ソグド・ソグディアナ
現ウズベク=康国:サマルカンド、安国:ブハラ、史国:キシュ(シャフリサブズ)、何国:クシャーニヤ、石国:タシケント
現タジク=米国:マイムルグ、曹国:ウラチュベ、カブダーナ
元々アケメネス朝のサトラペイア、前4Cアレクサンダー大王の侵略、セレウコス朝、グレコ・バクトリア朝の支配、エフタル、突蕨、アラブの侵攻。東イラン語系民族、ソグド語、ゾロアスター教信仰。