中国の歴史04 三国志の世界
金文京、2005年、講談社
『三国志』(正史)陳寿、3世紀 裵松之(はいしょうし)陳寿の三国志に詳細注
『三国志演義』(小説)羅貫中、14世紀…歴史考証がなされていない、印刷・科挙はまだない
最も広く流通するテキスト「毛宗崗本」清代
華やかな暗黒時代 華麗なる乱世
1.斜陽の漢帝国
北中国(黄河域)の政治優位、文化的正当性、蜀呉は蛮地 26-27
外戚+清流(儒教知識人・官僚)vs宦官
・外戚:母系的家族制度(儒教的父系的家族制度が確立する前)
・宦官:皇帝権力が強大なのに皇帝個人が若年・無能、皇帝・皇太后と官僚の連絡係
・儒教的知識人:地方豪族(経済力)→都に留学→官僚→貴族と清流(批判勢力)に分かれる
党錮事件 清流派知識人弾圧
黄巾の乱 穏健派知識人vs急進派知識人 河南地区
曹操(父:曹嵩、祖父:曹騰、宦官)潁川出身 知識人と黄巾賊残党 地盤
孫権(父:孫堅、兄:孫策=江南平定)内治(人材登用、山越統治)呉-長く続く
劉備 幽州出身 流浪 地縁血縁ない 関羽 諸葛亮 蜀-早く滅ぶ
2.群雄割拠
董卓 「天子を挟して諸侯に令する」
董卓vs関東諸侯軍(曹操、袁紹、張邈ら)
「関西は将を出し関東は相を出す」(函谷関の東西)
洛陽→長安 遷都
王允と呂布が董卓を殺す
袁術皇帝即位
讖緯(しんい):讖=予言書、緯=経(経糸)に対する横糸、経書=儒教道徳や制度を記す
官渡の戦い 曹操vs袁紹+劉備
民間人による屯田制度 田地を公有化する屯田制は豪族の大土地私有と相反する
袁紹の死後、長男袁譚vs三男袁紹
曹操河北平定 丞相に
赤壁の戦い
曹操vs孫権+劉備、魯粛、周瑜
長江での水軍戦、黄蓋が偽降伏し火攻め
3.三分天下
曹操と孫権が講和、孫権が関羽を攻める、江陵陥落、孫権は荊州南部を得る
219-220年 関羽、呂蒙、曹操が相次いで死ぬ
4.三帝鼎立(ていりつ)
魏:文帝(曹丕) 漢の献帝からの禅譲
九品官人法―後の科挙へ
蜀(漢):昭烈帝(劉備) 漢の皇族
呉:魏に臣従してきたので曹丕が孫権を呉王に封じる、約10年かかってやっと帝位につく=大帝
劉備の死後、呉と蜀の再同盟
劉禅(劉備の子)、曹叡(曹丕の子)の時代
諸葛亮の南征はまぁまぁ、北伐は6度失敗後234年、武器・兵糧・運道具・屯田を整え満を持して出兵。
対峙の後心労で没する。
蜀の北伐は国是。
呉蜀が同盟しても魏を崩せず、呉蜀の同盟があれば魏は両国を滅ぼすことはできない、三国の拮抗膠着状態。
そのまま内紛で徐々に衰退。
5.三国の外交と情報戦略
魏と蜀は漢王朝の正統後継者を争っているため魏蜀同盟はあり得ない。
使者が来た時、酒宴での論難(ディベート)
呉は楽しく蜀はまじめな雰囲気
政略結婚
6.かげりゆく三帝国
7.三教鼎立の時代
・儒教
・道教『老子』『荘子』
・仏教
儒教:漢の国教
新注と古注、今文と古文
古文学派の大学者鄭玄、儒教内の垣根を取り払い他学派とも交流→玄学
儒教の『周易』と『老子』『荘子』を三玄という
忠(忠義)<孝(孝行) 君主<親
道教:現生幸福、現実志向
太平道、軍事組織(黄巾の乱)
五斗米道(独立政権)
仏教
前漢末期から後漢初期の間に伝わった 西域経由 大月氏国(クシャン朝)
浮屠(これでブッダ、すごい当て字)
呉でもっとも栄えた
8.文学自覚の時代
文学
詩が五言七言になったのは後漢末から三国時代
民謡(楽府)は五言、宗教的歌謡は七言
建安七氏 曹丕が『典論・論文』で高く評価した七人の詩人・文人
↓1世代後
竹林の七賢
「孫の手」は曹丕『列異伝』の仙女麻姑(まこ)の手がなまったもの
科学・医学
華佗 麻酔手術、五禽戯(体操)、獄死するとき著書を焼く
医者の地位は儒教的教養を身に付けた士人階級より低い
漢代 隷書→八分書 隷書→章草(古い草書) 隷書→行書→楷書
9.邪馬台国をめぐる国際関係